本当にあった妻との話〜食器の下げ方〜
妻の実家では食後に食器を下げる際、お皿を重ねずに下げる。これは、「重ねてしまうとお皿の裏側まで不要に汚してしまい、洗う面積が増える」との理由らしい。
なるほど、一理ある。
運搬効率と洗浄効率を天秤にかけた結果の判断であるから、実に論理的である。新婚間もない頃、我が家でもその方法で食器を下げようと決まった。
食事を終える。一息ついた後、妻は食器を重ねずに流し台まで運ぶ。流し台には桶があり、食器を傷つけないよう静かに桶に沈める。
「ぽちゃん」「ぽちゃん」
妻は、水の張った桶に食器を沈めていた。
水の張った桶の中で、皿の裏側が不要に汚れていた。